BLack†NOBLE


『オマエに、頼みがある』

 広く長い通路を歩く。一定の間隔で、吊り下げられたシャンデリアが淡い光を放つ。

 三階は、蔵人の居住スペース兼ゲストルームなのだろうか?

 他の階とは、少し造りが違う。



『明日、彼女を日本に帰そうと思う。オマエがその命に変えてでも、彼女を日本に送り届けろ』


『にっ日本ですか!? 俺ビザとれるかな?』


 蔵人が、コイツを戦闘要員にしない理由がよくわかった。小柄だけど、体格はそれなりにいいし、喋らなければ、それなりの悪にも見えるのだが……いまいちだな。


『ビザなら心配するな。日本に着いたら、西原竜司という男に迎えを頼んでおく。そいつは、必ず白いロールスロイスで現れる。頭にくる面をした男だが、彼女を一番安全に屋敷に送り届けるだろう』


『ニシハラリュージさんですね?』


 コイツ一人じゃ不安だな。あと二名護衛を配備しよう。


『それから……』


< 237 / 509 >

この作品をシェア

pagetop