BLack†NOBLE
『俺、お茶なんてもんは、お袋にすら淹れたことないのに必死で淹れたんすよ! なのに熱湯かけられて、銃で頭蓋骨撃ち抜かれそうになったんすよ!!
日本まで行くのはいいですけど、屍でイタリアに帰ることになりそうで……ぐっ』
ジェロは、包帯で巻かれた左手を見せる。熱湯をかけられた傷跡か?
それに構わず掴む腕に力を込めた。
『口を慎め……愛嬌があって可愛らしいだろ?』
『あ……愛嬌? 確かに顔は可愛いです……ぐぇえ』
『外見の話をしているわけじゃない……彼女を見るな、オマエごときの視界におさめていいわけがないだろう?』
『そんな……むちゃくちゃです……瑠威さん』
ダメだ……
俺は、彼女から離れなければならない。こんな事で腹をたてている場合じゃないことは、よく理解しているのに……
三階の通路は、人通りが少なく静まっているが、下の方が騒がしくなってきた。男たちの足音も騒がしい。