BLack†NOBLE
『俺も"保険屋"の父から色々と学びました……この問題は蔵人一人では解決できない局面にきている』
『まぁ……瑠威』とローザは落胆の声を出す。
『ローザに聞いておきたいことがある』
『何かしら? 答えられることなら何でも話すわ。私はいつでもあなた達兄弟の味方よ』
『両親のことです。俺は自分の父親がマフィアだったなんて、今朝まで知らずに生きてきた。
何故、両親はそれを隠したか知りたい。
俺には蔵人ほどの能力がなかったからかもしれないが、ショックは大きい』
またハンディフォンは静まりかえる。 ローザは何も知らないかもしれない。だけど、こんなことを訊けるのは彼女しかいない。
充分な沈黙の後に、ローザは重い口を開いた。
『瑠威、クロードも知らなかったはずよ。あなた達の父親は、賢かった』
『でも、クロードは両親の死をきっかけにマフィアの頂点に立ったんだろ? そんなの一日二日で決意できるもんじゃない!』
声を荒げたことを少し後悔した。蔵人に知られたら怒られそうだ。
ローザの湖畔みたいな静かな瞳が、また寂しそうに細められたかもしれない。