BLack†NOBLE
ニナが夕食をカートに乗せて運んできた。心配そうに茉莉果を見ていた。
本題を切り出さなければ……時間をかけるほど俺の不利になる。
「実は、兄にこのままイタリアで暮らさないかと言われた」
「お兄様が? そうよね……兄弟だもの一緒に暮らしたいわよね。いいわよ。私もイタリアに住む」
簡単に即決したな……脳天気な人だ。兄はマフィアだと言っただろ。
「貴女は帰ってもらいたい……兄がここで受け入れてくれるなら俺はもう貴女の世話役から解放される。
俺は、昔のように自由の身だ」
咳払いをすると、手持ち無沙汰の右手でタイを調節する。とてもじゃないが夕食は喉を通りそうもない。
「日本では知り合いもなく、文化が違うから大人しくしていたが
この国では、派手に遊べる。女は好きなだけ手に入る。元々、一人の女に満足できる性質じゃないんだ。昨夜も女と……」
続きの言葉が出てこない。これ以上の嘘を吐くなと、本能が悲鳴をあげる。
全然ダメだ……。
彼女以外の女なんて、嘘でも抱いたことにはできない。