BLack†NOBLE
「お嬢様……」
心底申し訳ないと思った。これほどまでに愛した彼女に……
こんな事なら、嫌がる彼女を無理矢理にでも飛行機に乗せてしまえばよかった。
全ては、過去を隠し通そうとした俺の責任。
この地を離れてなんの音沙汰もなかった蔵人。俺への興味なんて、とっくに薄れていると思っていた。
ほんの数日、ここに滞在しても……まさか偶然会うなんて確率は少ないと考えた。
それでも用心を重ねて、夜間は街を出歩かなかった。ホテルのリザーブも、列車のチケットを手配するにも全て『紫音』を名乗った。
コイツらが嫌いな観光客に紛れて、観光客しかいかないようなルートを選び歩いた。
「瑠威、はやくしろ。俺は気が短い」