BLack†NOBLE

「茉莉果……」


 ゴクリと喉を鳴らすと、石の脇で小さく膝を抱えて座っていた彼女をどう扱えばいいのか頭を悩ます。


 白いネグリジェ姿だ。今すぐ抱き締めて暖めてあげたい


「明日は朝早くにここを出てもらう。さあ、部屋に戻ろう」

 レイジが、飛行機の手配をしてくれた。パスポートや荷物も用意してある。

 護衛は、かなり厳重だ。車五台で、空港まで彼女を送り届けて訓練を積んだ数名の男たちとニナが日本まで引率する。


 早朝、人目を避けて出発させる予定だ。




「お腹がすいて、眠れないの……」


「それなら、厨房で温かいスープを用意させる。部屋に届けさせるから、さあ立って」

 
「紫音家の執事たる者、主(アルジ)との夕食の席をめちゃくちゃにするなんて、あり得ないわよ……」


「俺は、今度こそ本当に貴女の執事ではなくなった。これ以上、話すことはない」




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