BLack†NOBLE


「……わ……別れると言ってるだろ」


 発言と行動が矛盾するなんて、生まれてはじめての事態だ。 彼女を抱き上げると力の限り抱き締めていた。



「別れない!て、言ってるでしょ! せめて何があったのか話してよ!」


 彼女も必死に抱きついてきた。背伸びしたつま先、転ばないようにしっかりと支える。


「イヤだ……」


「柏原のバカっ! 私のことは何でも知ってたいくせに、自分のことは全然話してくれない! そういうの嫌いよ! 大嫌い!」


「だから、俺とはもう関わらないほうがいいだろ……」


 彼女の腕が、俺の首に絡まる。首筋にキスをして、顔を埋めると……彼女からは、またあのフリージアの香りがする。





< 295 / 509 >

この作品をシェア

pagetop