BLack†NOBLE
「蔵人が撃たれた。意識不明の重体だ」
「お兄さまが!?」
こんな事を、音楽一家の令嬢に話しても恐がらせるだけだと思う。
最善策は、何も知らせずに日本に帰すことなのに……俺は事の顛末を全て彼女に打ち明けた。
蔵人のこと、ローザのこと、両親のこと、コッグとグレコのことを一つ一つ彼女が理解できるように丁寧に説明した。
「大人しく日本に帰れないか? 茉莉果は、紫音家の令嬢だ。世界的にも有名な両親の為にもなる。
もし、俺たちマフィアと付き合いがあるとゴシップされれば大問題だぞ。二人には良くしてもらった。絶対に迷惑かけたくない」
彼女は二回大きく深呼吸する。
「だって……」
「だって、と、でも、は無しだ」