BLack†NOBLE
彼女と蔵人を、両方選択する。我が儘な彼女らしい意見。俺には、到底辿り着けない考え方。
「お父様とお母様に連絡して、しばらくイタリアに滞在するって言ってあるから大丈夫よ」
「連絡したのか?」
「ええ、お兄様が心配してるだろうからって! マフィアの抗争が激化してるって報道があったみたいで二人とも心配してたから、私も柏原も、そんなものに全然巻き込まれてないわ! って言っておいたわよ」
「全然って……」
思い切り渦中だぞ。
「二人は大丈夫。それより柏原は、私がいないと全然ダメなんだから次に逃げたら縛りつけてみようかしら?」
クスクスと笑い声をあげると、彼女はムッとして「何よ?」と頬を膨らます。
「縛りつけるのは、俺の役目だろ。それを奪うのか?」