BLack†NOBLE


 彼女の唇は艶めき俺を誘う。クリッとした可愛らしい瞳もベッドに倒れれば妖気に光る。



「今夜は血が高ぶっていて、自分を抑えることが難しい。

 手放したはずの貴女を縛り上げて、その裸体を一晩中独り占めしたいと言ったら……貴女はどうする?」



 すかさず唇を塞ぎ、彼女の舌を捕らえて必要に追い回す。


 貴女が、「それでもいい」と言うならば俺は二人を選択してしまうかもしれない。血塗られた道に、貴女を飛び込ませてしまう。



「俺が守るから……」



 何故、最初からそう言ってやれなかったのだろう。ただ一言だ。
 
 これを言えずに、彼女の言葉を借りるなら"逃げていた"。


「やっと言ってくれた……」





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