BLack†NOBLE


 ひきつる顔を、必死に笑顔にする。

 長年、執事として仕えてきたんだ……笑顔なんて容易く作れるはずなのに、今は困難だ。



 喉の奥から、何かが爆発してしまいそうだ……

 それを必死に抑えて、彼女に伝える。


「今から、目隠しをいたしますが私が近くにおりますから……安心なさってください」


 
 精一杯の嘘だ。

 彼女が抵抗すれば、蔵人は迷うことなく彼女の体に銃弾を撃ち込むはずだ……


「柏原……」


 彼女の大きな瞳が、一瞬不安で揺れる。

 これ以上見つめ合っていては、嘘を見抜かれる。



「失礼いたします。お嬢様」

 震える声で、囁き
 優しく彼女の目を覆う。






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