BLack†NOBLE

「柏原……?」



 彼女の声がして振り返ると、扉から寝起きの顔を覗かせている。



「どうした?」


「柏原がいなくなったから、どこに行くのか慌てて追い掛けてきたの。

 ねえ、入ってもいい?」


「ああ、いいよ」


 素足にルームシューズの彼女は静かに蔵人のベッドサイドにやってきた。



「お兄さま……」


「顔色が少し良くなってきた。多分、すぐに目覚める」



「そう……」


 ベッドサイドに膝をつくと、彼女は蔵人の頬にキスをして「はやくよくなりますように……」と囁いた。



「何故、キスする必要がある?」


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