BLack†NOBLE
「あら? なんとなくよ。怪我人にヤキモチ妬かないで欲しいわ」
「いいから、来い!」
彼女の腕を掴んで部屋を出る。蔵人の部屋になんて入れるんじゃなかった。
レイジが声をかけてきた。
『ご朝食はいかがなさいますか?』
『用意してくれ、彼女を着替えさせてから行く』
『出発の準備を済ませてください。車を用意しておきます』
『レイジ……』
「痛いわよ! 柏原の馬鹿」と文句を言う彼女の手を離した。
『彼女は帰さない』
レイジの表情が固まる。それを見ないようにして立ち去った。