BLack†NOBLE
『瑠威さん、さっきからカルロさんが御呼びですよ。どうします?』
ジェロは、今朝もサイズの合わないスーツを着ていた。袖からは、白いシャツがはみ出ていてジャケットは肩からずり落ちそうだ。
『わかった。すぐに行くと伝えてくれ……それから、ジェロ』
『は……はい!』
『そのスーツを買い直して来いよ』
『は……はい?』
『お前の体型は体の割に手が短い、オーダーメイドして自分に合ったスーツを選べ』
蔵人が何故こんな奴を傍に置いているのかよくわからないが、少なくともメルフィス一味は皆がジェロよりも上手に黒いスーツを着こなしている。
俺がアドバイスすると、ジェロは大きく頷いた。
『そうか……だからボスは『不恰好な奴は子守りでもしてろ、俺の隣を歩くな』と言ったのか? 瑠威さんありがとうございます! 俺、なんで皆みたいにうまくスーツを着こなせないのか分からなかったです!』
意気揚々と答えたジェロ。『そうか、俺手が短いんだ』と両手を見つめていた。