BLack†NOBLE
派手な電灯装飾のカジノに到着したのは、日が暮れ過ぎ。あまりセンスがいいとは言えないな。目がチカチカするようなネオンは好きじゃない。
フィレンツェのクラブは外観は高級感あるレンガ造り、内装は気品がありシンプル。だけど大型モニターなど近代的なビジョンは取り入れていて客を飽きさせない。
店はオーナー色を醸し出す。こんな店が蔵人の店とは到底思えない。
部下に恵まれなかったな……セシルの力量が丸出しだ。
『中もこんな感じか? 品がない』とレイジにぼやくと、『カジノですから』という答えが返ってきた。
カジノの一カ所しかない入り口には、物々しい装備の警察官が四人いる。
『カラビニエリか?』
『はい』
車はカジノに横付けされた。他の客はいない。レイジが車から降りて、俺の方のドアを開いた。