BLack†NOBLE

 その度胸買ってやろう。


 適当に会話を繰り返していると、女がこのカジノ直営のホテルに滞在していると言知った。

 猫足のバスタブが気に入っているらしい。女はしきりにバスタブと寝心地の良いベッドの話をする。

 今夜はずっと一人だと言うので、さっそく期待に応えてやることにした。



『案内しろ』


『随分、乱暴な聞き方ね。女の部屋に行くときは、いつもそうなの?』


『こんな態度で傷つくような女は相手にできないからな。楽しみたいだろ?』


 タイを少し緩めて、ゲームの終了をディーラーに伝えた。蔵人のチップを減らさずにすんだ。



 女は『楽しめそうね』と笑い、俺の腕に絡まる。


 カジノを見渡すと、客の足は疎らだがファミリーの姿はない。





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