BLack†NOBLE



 奥歯をギっと噛み締める。すると肩に刺すような痛みが走る。

 思わず「うっ」と声を漏らすと、蔵人はその綺麗な眉をつり上げた。


 相手の、どんな些細な変化も見逃さない。それが弱点になるなら……尚更だ。


 こんな奴の傍にいたから、ポーカーフェイスがうまくなったんだ。



「痛むか? ここの男たちは手加減ができない……悪かったな」


 柔らかい音色で囁くような声で近づき、長い指が俺の頬をなぞる。


 細められた瞳は、漆黒
 顔にかかる髪も、漆黒


 ムカつく程、よく似ている。


「……会いたかった瑠威
fratello minore」



fratello minore
兄弟という意味。



 認めたくないが、蔵人はたった一人の俺の兄だ────




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