BLack†NOBLE
「すぐに手当てをしてやる」
蔵人は、小さなため息をつくと大声で誰かを呼んでいた。
室内は明るく、とても開放的。大きな窓枠は木でできていて、壁は石造り……古い建物だ。
置かれた家具は、その全てにアンティークとしての価値がありそうな高級品ばかり。
以前俺たち家族が住み家にしていた場所とは違う。
日の高さを見ても、あまり長い時間が経過したとは思えない。フィレンツェであることは間違いなくても、ここがどこなのか予想ができない。
広く重厚な造りの屋敷……
部屋を出入りする部下だけみても、総数が何人いるのか検討もつかない。
俺がいない間に相当な出世だな? 腹がたつ。何をどうしてここまでのものを手に入れたのか、後で聞きだしてやる。