BLack†NOBLE
蔵人が見知らぬ女を連れてきた。
手に、大きなタガーナイフを持った男も一緒だ。一体そのナイフを普段に何に使っているのか知りたいくらいだ……
男は、俺のシャツを容赦なく切り裂く。縛り付けた縄はそのままに、シャツはただの繊維の塊になった。
『肩が、打撲で……腹は軽い火傷だろ? ニナ』
ニナと呼ばれた女は、白人で髪はブラウン。まだ幼さが残る……年齢は、お嬢様と同じくらいだろうか?
女は、真剣な顔をして頷くと木箱から薬品を取り出す。
『俺の大切な弟だ。粗相をしたら……あとで酷いお仕置きをするぞ?』
蔵人は、彼女の目の前で優しく甘く微笑み、そして耳元で低く恐ろしい声で囁くのだ。
『かしこまりました……ご主人様』
今にも泣き出しそうな大きな瞳で蔵人を見つめると、ニナはコットンに薬品を染み込ませていく。
その真剣さが、とても健気だ。
「瑠威、すまないが仕事があるんだ……一時間で戻るよ」
優しい声で、一切身動きの取れない俺の頬にキスをする。この国での一般的な挨拶だ。
俺の返事を待たずに、蔵人は部屋から出ていった。