BLack†NOBLE

「蔵人、これ以上アイツを怒らせるなよ。睨み合いが続いているし、グレコは厄介だ……」

 日本語ならば、蔵人にしか伝わらないだろう。

 蔵人は、小さく頷く。





『まあ、飲めよ瑠威』と蔵人は俺のグラスに自分のグラスをぶつけた。



 黒髪の間から、うっすらと額に汗が滲み出しているのが見えた。

 腹を撃たれて重傷だ……かなり無理している。いつ倒れてもおかしくない。


 早く終わらせなければ……。蔵人が倒れれば、この結束力に動揺が生じてしまう。


 コッグもグレコも、なかなか折れない。こっちの人数が増えても、何か策はないかと必死に考えているみたいだ。

 それほどまでに、この地にこだわり、この地に戻りたいと思っているんだな……

 虫螻が、ならば最初から友好的な手段を用いればよかっただろ。

 そっちが撃ってくれば、こっちも撃ち返すしかなくなる。


< 375 / 509 >

この作品をシェア

pagetop