BLack†NOBLE
「蔵人、これ以上アイツを怒らせるなよ。睨み合いが続いているし、グレコは厄介だ……」
日本語ならば、蔵人にしか伝わらないだろう。
蔵人は、小さく頷く。
『まあ、飲めよ瑠威』と蔵人は俺のグラスに自分のグラスをぶつけた。
黒髪の間から、うっすらと額に汗が滲み出しているのが見えた。
腹を撃たれて重傷だ……かなり無理している。いつ倒れてもおかしくない。
早く終わらせなければ……。蔵人が倒れれば、この結束力に動揺が生じてしまう。
コッグもグレコも、なかなか折れない。こっちの人数が増えても、何か策はないかと必死に考えているみたいだ。
それほどまでに、この地にこだわり、この地に戻りたいと思っているんだな……
虫螻が、ならば最初から友好的な手段を用いればよかっただろ。
そっちが撃ってくれば、こっちも撃ち返すしかなくなる。