BLack†NOBLE

 だけど、蔵人のその奥深い愛を知り、本性を垣間見たならば、誰も蔵人を心底憎めなくなる。



 逆上したグレコが訳のわからないイタリア語を喚いて、太い指で小さな拳銃を構えた。



『お前は、撃てないよ。グレコ』



 銃口は、蔵人だけを狙っていた。

 セシルとレイジは、その身を蔵人に捧げようと飛び出したまま動かない。



『お前は、撃たない。俺に命を助けられている。

 頭を冷やしてよく考えろ。お前たちがこの国でやれる事はない。大人しくアメリカに帰れ』




 逆上させて、冷水かけて、それから同情か……




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