BLack†NOBLE



『瑠威様、直に船が着きます。私がクロード様を……』


 激しい風の中、レイジが心配そうに覗き込む。


『大丈夫だって言ってるだろ……』


 口では偉そうなくせに、抵抗しない蔵人。レイジみたいに忠実な部下がいて本当によかったと思う。




『瑠威様がいてくれて助かりました。ファミリーにとっても心強い。

 それにコッグとグレコがクロード様の命を狙っていなくても、他にも沢山この命を狙う連中がいます。メルフィスには二本の柱があると知れ渡れば、この力は更に強固になる』


『待てよ、レイジ。まさか、シチリアでの狙撃は別の組織か?』



 この戦いに終わりはない。そんなこと最初からわかってる。


『わかりません。只今、調査しております。コッグたちに雇われていた兵隊に口を割らせればすぐに解ることでしょう』



『そうか……』



『瑠威』

 名前を呼ばれ、顔を上げるとカルロが小さく頷いた。自分たちに任せろと言いたいんだろう。


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