BLack†NOBLE
『任せた、カルロ』
行き場のない悲しみと怒り。逃げ場のない現実の残酷さ。
ただ、嘆いてばかりじゃダメなんだ……
俺には守らなきゃならないモノがある。
『ああ、必ずや決着をつけてやる』
『その前に、蔵人と俺をフィレンツェの屋敷まで送り届けてくれ。疲れた』
『わかっている』
冷たい風が頬にあたる。不安定な足場が時折大きく揺れた。
『カラビニエリを動かしたの……蔵人だろ? レイジ』
『はい、その様です』
蔵人は青白い顔で、歯をニヤリと見せて笑った。
「コッグとグレコが動かせるわけないだろ……弟に危険が及ばないように、俺はセシルを裏切った。
それなのに……アイツは俺に命を捧げた。後味が悪いな、あの世でセシルに合わす顔がない」
「お前は当分逝かないよ」