BLack†NOBLE


『瑠威さん、会議室でボスがお待ちです』


 オーダーメイドしたスーツを着たジェロが頭を下げた。身だしなみが整ったジェロは、スーツの袖を気にしない分だけ落ち着いたように見える。


 チッ、と舌打ちすると、奴は後ずさりしなが『お、お二人の時間、じゃ、邪魔して、も、申し訳ございませんでした!』と深く頭を下げた。



『それくらいで動揺するな。もっと堂々しろ』


『だって……茉莉果さんのことでキレる瑠威さん恐すぎます……』



 ジェロをからかうのは嫌じゃない。この屋敷に来て数日経つが毎日の日課みたいなものだ。



「柏原、またお仕事?」


「蔵人が待ってる」


「お兄様、私とは全然遊んでくれないわよ?」


 唇を尖らせたので、その先端に触れるだけのキスをした。


「キスで誤魔化そうとしてる」


「バレたか、次から違う手段を考えておくよ」




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