BLack†NOBLE
『はい。ミラノでは……正直捜査の手が入り人員不足、セシル様を失ったことにより多少の混乱が……早急な組織の立て直しが必要でしょう』
『そうか。ミラノに、有能な新しい幹部が必要か……』
蔵人がポツリと呟くと、そこにいた蔵人以外の全員の視線が俺に注がれた。
『ボス、それならば瑠威がいい』
カルロはゴツゴツした手を組んで腹の上におくと、深く腰を沈めてから大きく頷いた。
他の幹部は曖昧な表情を見せたが『今回の働きから言えば、そういうことになるな』と頷いた。
蔵人は、ピクリとも動かない。顔色もよくなり、いつも通りの蔵人だ。
『瑠威にはまだはやい……アンドレ、お前はセシルの父親の代からミラノにいた。ミラノのことはお前が一番よくわかってる』
静かな会議室で蔵人の声が響く。
『レイジ、どう思う?』
『しかし、前例によると上級幹部は世襲……掟に定められた家系のものしかなることはできません。今の場合、幹部の役職につけるのはクロード様の弟である瑠威様しかいらっしゃらないのかと……』
蔵人はそれを鼻で笑った。アンドレは床に視線を落とした。
『冗談だろ? 瑠威ごときが、ミラノの幹部を勤められるはずがないだろ』
ククッと笑い、『あり得ない』と心底馬鹿にしたように俺を見た。
『……………』
ふざけるな。もう少しモノの言いようがあるだろう。