BLack†NOBLE



『俺もアンドレが適任だと思う。頭の回転もいい。マフィアにしとくには勿体無い逸材だ。

 世襲、世襲と騒ぐなら蔵人の弟の座をアンドレに譲ってやる。正直こんな兄貴にうんざりしてるとこだ』



 ふん、と鼻を鳴らして言い返してやった。レイジは『瑠威様まで何を仰るのですか……』と裏声で叫ぶ。



『だそうだ。アンドレ、俺はお前に任せたいんだよ。どうする?』


 アンドレは、生まれも育ちも北イタリアだと聞いている。ミラノからムラーノまでを共にした。堅苦しい奴だが、適任だ。



『私など、マフィアの底辺からセシル様に使っていただいた身です。恐れ多くて……』


『俺の言うことが聞けないか?』



 蔵人がミネラルウォーターのグラスをくるりと回し、ニコリと微笑んだ。




『い……いいえ』


『レイジも反論があるか?』



『いいえ』


『じゃあ、決まりだ。ミラノの幹部はアンドレ。俺の弟は、永遠に瑠威だけだ』



< 389 / 509 >

この作品をシェア

pagetop