BLack†NOBLE
『俺もアンドレが適任だと思う。頭の回転もいい。マフィアにしとくには勿体無い逸材だ。
世襲、世襲と騒ぐなら蔵人の弟の座をアンドレに譲ってやる。正直こんな兄貴にうんざりしてるとこだ』
ふん、と鼻を鳴らして言い返してやった。レイジは『瑠威様まで何を仰るのですか……』と裏声で叫ぶ。
『だそうだ。アンドレ、俺はお前に任せたいんだよ。どうする?』
アンドレは、生まれも育ちも北イタリアだと聞いている。ミラノからムラーノまでを共にした。堅苦しい奴だが、適任だ。
『私など、マフィアの底辺からセシル様に使っていただいた身です。恐れ多くて……』
『俺の言うことが聞けないか?』
蔵人がミネラルウォーターのグラスをくるりと回し、ニコリと微笑んだ。
『い……いいえ』
『レイジも反論があるか?』
『いいえ』
『じゃあ、決まりだ。ミラノの幹部はアンドレ。俺の弟は、永遠に瑠威だけだ』