BLack†NOBLE
『何笑ってんのよ! 小娘! 瑠威に触らないでよ! なんかムカつくのよ!』
蔵人は、『キーーッ』と喚くアリシアの顎をガツッと掴むと、そのまま唇を奪った。
『静かにしろって言ってんるだよアリシア』
茉莉果お嬢様は、「まぁ、お兄様が!」と頬を赤らめる。
そんな事くらいなら、俺にだって出来る……
『フォカッチャにハチミツ浸して食べるなよ? 即離婚するからな』
アリシアは、金色の眉をハの字にすると『わかった』と言って、蔵人の隣でフォカッチャをそのままかじった。
彼女もトコトコと歩き、蔵人と向かい合わせの席についたので、俺も無言で彼女の隣に座る。
「いただきます。美味しそうね柏原」
両手を合わす作法に、アリシアは珍しいモノを見たとばかりにエメラルドの瞳を丸くする。
「何故、また結婚する気になったんだ? 蔵人」
「別に……」
アリシアは聞き慣れない日本語に首を傾げながら、フォカッチャにナチュラルチーズをのせて頬張った。