BLack†NOBLE
彼女はしげしげと自分の薬指にはまった指輪を眺めていた。
何で、そんなデザインを選んだか自分でも不思議だが……ピンクダイヤが薔薇の紋様を象る婚約指輪。
「気にいらなかったか?」
他人ごとのように、固まる彼女に少し不安になる。
彼女は産まれも育ちも日本だ。言葉も文化も全く違うこの国で生活していくのは、大変なことだろう。
だけど……
「だけど離さないからな、残りの人生は俺と過ごしてもらう」
細い腕を掴み、彼女を抱き寄せた。
「……柏原」
「嫌だと言われても、俺は離れない」