BLack†NOBLE
『ずっと泣いてたって顔してる。強がるな』
そうだよね、今日はペーシェ ダプリーレ。 クロードはこのベッドに平気で女を連れ込むような男だ。
けれども、あまりに優しくクロードが髪を撫でるから間違えて涙が出そうになっちゃうくらいに彼が愛しい。
『愛してるから、一緒に暮らしてみるか? お互い浮気も飽きてきた頃だろう』
彼は、試すように私を見ては意地悪に微笑む。
思いっきり頷いてしまいたいけど、今日はダメだってわかってる。
これはクロードの嘘だから……
『二人で、アルプスの麓でひっそりと式を挙げようか。
それから空気が澄んだ高原に煉瓦の家を建てて二人きりで暮らす……
薪で暖炉を燃やして、アリシアの手料理も食べてみたいな……それから夜は、綺麗な星空を眺めて一晩中、裸で抱き合う』
─────嘘……
これは、クロードの甘い嘘だ。
クロードは、適当なこと言って楽しんでるだけだ。
私を苦しめて笑ってるだけだ……
なのに、どうしてこんなに穏やかな瞳をしているの?
『星空なんか見てる余裕ないくらいに、私のこと泣かすでしょ?』
『当然だろ。アリシアは苦痛に耐えてる顔が、一番美しい』
『だからって、首絞めたり他の男に襲わすプレイはもう嫌だからね! 変態。大嫌いだから!』