BLack†NOBLE
『皆心配してるんだからね! 私はその中で誰よりもクロードが大嫌いだから、全然心配なんてしてなかったけどね』
クロードの首に腕を回し、冷たく乾いた唇にキスをした。
チュッと音をたててわざとらしいキスに、クロードはフッと笑みを浮かべる。
『またハチミツ食べただろう? 甘い香りがする』
『クロードには関係ないでしょーっ、私がフォカッチャにハチミツつけて食べても許してくれる、優しい男がいるんだから』
フンと鼻を鳴らすと、予想外にクロードはとても悲しそうな顔をした。
綺麗なアーモンド型の瞳が切なそうに、私を捕えて離さない。細く長い指が私の髪を撫でる。
『冷たいな。関係ないなんて言うなよ……俺は、こんなにアリシアを愛してるのに』
拳銃で、心臓を射ぬかれたら、 きっとこんな衝撃だ。
クロードの口から、私に向けての「愛してる」なんて単語を聞いたのは初めてだった。
『クロード……』
だけど、彼はすぐにククッといつものように性格の悪そうな笑い声をあげた。