BLack†NOBLE


──────「っていう事があった。

 その後すぐに両親が帰宅して、菓子をくすめてきた事で俺は酷く叱られた」


「うわっ……柏原最低ね? ワガママ言ってお兄様を困らせたのね」


「まだ三歳だったからな。でも瑠威は最高に可愛い弟だ。今もあの時も大差ないだろ?
 茉莉果の事となると、大した癇癪を起こす。可笑しいくらいにな」


 蔵人は、茉莉果が作ったプレストフラワーのアクリルパネルを額におさめると満足そうに頷いた。


 それから書斎の中を歩き、自分のデスクからよく見える場所を選んで額を飾った。




「茉莉果はセンスがいい。見直した。

 ジェロの頭をライフルで撃ち抜こうとした時は、どんな令嬢かと思ったが」

 蔵人は額の位置を調整しながら、茉莉果に微笑みかけた。


「柏原が毎朝庭園の花を摘んで、ダイニングテーブルに飾ってくれるの。

 それを見てたからだわ。柏原のおかげよ」


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