BLack†NOBLE

手錠に繋がれた弟




─────薄暗い地下牢は、蝋燭の小さな炎だけで照らされていた。


 床には水がたまり、湿気を帯びた空気が充満している。

 かび臭さと、野鼠が徘徊するカサカサという音は、その男の苛立ちを更に増幅させた。


「くそっ!!」


 ガキーンという鉄と鉄がぶつかる音が地下牢に響き渡る。

 牢屋の鉄柵にかけられた鉄の手錠には、その男の美しい手が囚われていた。


 両手を囚われて、両足は縄で拘束されている。

 顔には複数の男から暴行を受けた痕がいくつかあるが、誰もその男の美しすぎる顔を本気で殴ることは出来なかったようだ。



< 463 / 509 >

この作品をシェア

pagetop