BLack†NOBLE


『目覚めたか? クロード・メルフィスの弟』

 石の階段を降りながら、スーツ姿のイタリア人が不適な笑みを浮かべて牢屋の前までやってきた。


 縛りあげられた瑠威を見て、満足そうに笑った。


『高そうなスーツが台無しだな。後でスーツ代は弁償させていただくよ。
 オマエの兄貴がうちの店の営業を快く許可してくれたらの話だけどな』


 瑠威は、男を睨みつけた。 そして、馬鹿にしたようにフンと鼻をならして、唾を吐き出した。


 男の革靴を汚す。



『高そうな靴が台無しだな? 後で兄が来たら弁償させる。オマエがこの国から追い出される前にな』


 男は額に青筋を立てた。

 相手が何者なのかは分からないが、蔵人のせいで自分が人質になっていると思うと、瑠威は不思議な安心感に包まれた。



─────蔵人ならどうせ直ぐに迎えを寄越すだろう。



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