BLack†NOBLE


 男は、奥歯を噛みしめた。あの誰もが恐れるクロード・メルフィス。

 奴が首を縦に振らないのならば、この国で成功をおさめるのは困難だ。

 
 膨大な数のマフィアを君臨させて、企業経済界すら意のままに操る憎き男。

 イタリアで一番注目度が高く将来有望な有名女優をも引退に追い込んだ憎き男。

 ただちょっとメルフィスのルールを破っただけで、俺の店から客足が遠退いた。


 目の前には、自由を奪われた奴の弟がいる。

 不機嫌に微笑み、牢に手錠で繋がれ拘束してある。

 黒髪の隙間から見える顔は、奴にも勝るとも劣らぬ美しい顔をしていた。


 囚われているくせに強気で生意気な態度。



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