BLack†NOBLE

『その生意気な口がきけなくなるくらい、可愛がってやろうか?』


 男は、自瑠威の頬を撫でた。一瞬で体が高揚していく。男が好きなわけじゃない。

 それなのに、ただ目の前に拘束されている美しい男を見ていたら、そんな台詞が頭に浮かび手が伸びてしまったのだ。



────滅茶苦茶にしてやりたい。


 その冷たく美しい頬にを優しく撫でると、彼は舌打ちをする。


『男に可愛がられる趣味はない。手を退けろ』



 冷たい眼差し、その生意気な態度。


 男の心を掻き立てるには充分すぎるほどの魅力。


 胸元にだらしなくぶら下がっていたタイを優しく引き抜き、男はそれを愛しそうに頬擦りすると


 瑠威は、ゾクリと寒気がした。


『立場がわかってないな。オマエは、両手足拘束されている。クロード・メルフィスは、うちのオフィスは知っていても、この地下牢の存在は知らないんだよ。

 時間はまだたくさんある』


 男は瑠威の顎を掴むと、舐め回すように厭らしい視線で瑠威をジッ見つめる。


────なんて美しい顔だ


『男にしとくのは、勿体ない程……綺麗だな』


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