BLack†NOBLE

 レイジは、『論点はそこではないのですが……』と肩を落とした。

 より具体的な例を提示するために、少しばかり行き過ぎた例え話をしてしまったようだ。


『その、蔵人……助けて……っていうのは瑠威は、絶対に言わなそうだな。

 でも、その台詞は一番のクライマックスなのに、瑠威なら多分、好きなだけ犯せよ、そんなこと何のダメージにもならない。とか言いそうだ』


『ねえ、でも映画なら、その映像をクロードは別室で見せられていて唇噛み締めてたりするんだよ』


『俺が? 唇を噛み締めるか? アリシア』


『ないか……うーん、絶対に真顔で『そのアングルおかしい、もっとちゃんと撮せ』とか言ってそう』



 クロードは、アリシアの後頭部を優しく撫でた。

 柔らかなブロンドの髪、アリシアは嬉しそうにクロードの胸に抱きついた。



 最近見慣れきた仲睦まじい夫婦の姿だが、論点のツボに理解できずに、いつも疎外感を感じるレイジ。



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