BLack†NOBLE

 背伸びして、クロードの不機嫌な唇にキスをする。久々のキスなのに、クロードはいつもみたいに反応してくれない。


『アリシア、やめろ』


 そればかりか避けるクロード。



『なんで……? 私たち、夫婦だよね? 一緒に暮らそうって約束したよね?』


 私がクロードの子供を身ごもって、フィレンツェにいることを許可してくれたのはクロードだ。


『はやく寝室に行け』

『クロードの寝室に行っていい?』


 この屋敷は広すぎる。クロードは私に広すぎる部屋をくれた。だから、私たちの寝室は別々だ。

 長い廊下を歩かないとクロードの寝室にはたどり着けない。


『ダメだ』

 
 それだけ言って、私から離れようとするクロード。


『レイジ、アリシアを部屋に連れてけ』


 クロードの後ろで、息を殺していたレイジが私を哀れむようにみた。そんなふうに見ないで欲しい。

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