BLack†NOBLE


 お嬢様が「黒いスーツで、黒いロングコートを着ている人はマフィアよ」と言っていたが、実際それは嘘ではないのかもしれない。



 蔵人に続いて部屋を出ると、長い廊下を歩かされた。

 観葉植物が飾られた通路を歩き、茶色い木の階段を降りると……そこには両脇に黒尽くしの男達が整列していた。


 蔵人の姿を目視すると、直ちに深く頭を下げて微かにも動かない。

 奴は、ピンと張りつめた緊張の空気の中を当然の様に振る舞い、メインエントランスのホールに進む。


 その後ろに俺が続き、俺の後ろにはレイジがついてきた。



 特別大きなシャンデリアが豪快にぶら下がるエントランスホール。ライフルをかまえた護衛が数人いる。


 この屋敷の出入り口は、かなり厳重に警備されている。多分、外にも護衛がいるだろう。


 淡いベージュ石と、赤い石が幾何学模様を描いた床は総大理石。そこから、左右に伸びる通路。階段は俺達が降りてきたもの一つしか見当たらない。




< 55 / 509 >

この作品をシェア

pagetop