BLack†NOBLE



  ゆっくりと発進する車。ブラックライトが薄く怪しい光を放っている。



「遊びに行くに決まってるだろ? せっかく兄弟が再会できたんだ。今夜は朝まで遊ぶ」


 長いスリットから綺麗な脚を魅せる女達。 車内に設置されているミニバーから、ハーフボトルのワインを取り出し、縦に長いワイングラスに三分の一ほど注ぎ、蔵人がそれを受け取る。



「瑠威も、きっと楽しめるさ」


「楽しくなんてない」



 蔵人は、隣の女に腕を回し抱き寄せるとワイングラスを傾けた。



「茉莉果は、いい女だが……瑠威は女を一人だけしか相手にしない生活など満足できないはずだ」



 俺も、飾り物のようなワイングラスを握らされた。


 高そうなクリスタルのグラスは重みがあり、そこから爽やかな葡萄の香りが車内に広がる。



 かなり高価なワインだろう。


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