BLack†NOBLE


 部屋を出ようとすると、護衛にライフルを突きつけられた。そんなもん腹の中に撃ち込まれたら、一発で内蔵が破壊されるだろう。



『退け。生憎、生AVに興奮するほど飢えてるわけじゃない』


『瑠威様、クロード様の命令は絶対です。この部屋にいてください』

 レイジが大きな体で俺を押し返す。


 アリシアは肩で呼吸をしながら、小さく震えてソファーに崩れ落ちた。


 蔵人はアリシアを後ろから抱き寄せ、自分の膝の上に座らせた。


 形のいいバストがツンと上を向く。


『クロード、絶対許さない……』


 力ない抵抗。体は蔵人を求めているみたいだ。

 アリシアは両腕をねじあげられた、そして蔵人の右手は彼女の細い首を締め上げる。


『んっ……苦しい……』


『生意気な口をきくな』


 喉を詰まらせ眉を苦しそうにしかめ。その綺麗な顔が赤らむ。護衛は荒い息を吐き出した。



『レイジ、ホールから若くて頭の悪そうな男を一人連れて来い』



 アリシアは、蜘蛛の巣に絡まった美しい蝶のようだ。





 毒を持った蜘蛛は、餌を見せびらかすように俺を見る。



『いい女だろ? 瑠威』

  
 蔵人は危険すぎる────

 アリシアの顔が、赤から白に変わっていく。



『一度、抱いてみたいと思わないか? コイツは俺が色々調教してあるから、音楽一家の令嬢ではできないくらい楽しめるぞ?』


『鬼畜野郎……』


『嫌いじゃないだろ? 苦痛の中の快楽を与えてやるのが、楽しくてたまらない……女遊びって、そんなものだ』




 この世界を統治するのは蔵人だと錯覚してしまいそうだ。

 俺たちは、皆踊らされて支配されてゆくしかないのか?


『手をはなしてやれ……』


 アリシアが酸素を必死に吸い込む。



『抱くか?』


 首を横に振ると、またアリシアは気道を塞がれた。




< 77 / 509 >

この作品をシェア

pagetop