BLack†NOBLE


「ぐっ……」


 革靴が肩にのめり込む。

 話し合いにもならない。双方の言い分の論点もズレているし、今の蔵人には何を説明しても理解されない気がした。



「瑠威……残念だ」



 自分だけ傷ついたような顔をするな!


「俺は……日本に帰る……彼女は、絶対に俺の迎えを待っている!」



 吐き出すような弱々しい文句に、肩にますます重みが乗りかかる。骨がミシミシと音をたてた。あと少しで砕ける……



「……蔵人」



「茉莉果は、オマエなんか待っていないぞ。俺の部下と楽しくやってるよ」

 
「ははっ……」

 確かに、マイペースな彼女なら蔵人の部下相手でも楽しく過ごしているだろうな。



「それでも……彼女は、俺を待っている」




 絶対に待っている。



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