BLack†NOBLE
それを聞いて大人しくなったアリシアは、半信半疑で俺を睨みつけてくる。
『絶対に?』
『ああ、絶対に』
フンと鼻を鳴らして、大人しくなる。
簡単に騙されるんだな? 銃をかまえた奴等の、盾にされているのにお気楽な女だ。
やっぱり、ただの馬鹿女。何故、蔵人はこんな奴と結婚したのだろうか……
『レイジ、はやくしろ! 扉を開けて、俺が外に出る』
『クロード様いかがいたしましょう?』
レイジは助けを求めるように、蔵人の指示をあおぐ。
『好きにさせてやれ、瑠威、外は危険が多い。死ぬなよ? どちらにしても瑠威は俺の元に帰ってくる気がするけどな』
『これ以上、蔵人の世話になるつもりなどない』
だけど、お嬢様が人質にされてる以上……奴の屋敷には戻らざるをえない。
何か奴の弱点を探して出して、有効な取引ができれば理想だ。
蔵人が服従するような何かがあるといいのだが……
アリシアを羽交い締めにしながら、ゆっくりと扉へと移動する。
護衛は、悔しそうな顔をして銃を床に置く。
可能な限り、蔵人の頭に銃口を向けながら慎重に扉の外に出た。
バーテンも給仕の女たちも、震えながら身を寄り添わせていた。
握り締めた鉛の塊。
自分でも気付かぬうちに、手に汗をかいている。滑らないよう確りと握り締めた。