BLack†NOBLE


『アリシア、瑠威にうんとサービスして奉仕してやれよ。戻ってきたら、褒美に俺が可愛がってやる』


『ホントっ!? クロードが!?』


 余計なこと言いやがって……

 アリシアもアリシアだ。こんなにひどい目に遭わされて、まだ蔵人から褒美をもらえると信じてるのか?


 究極のマゾだ。


『約束だ。瑠威から離れるな』



 急いで通路について飛び出し、バン! と音をたててオーナールームの扉を閉めた。そして、アリシアを解放した。

 ここには、もう護衛はいない。中から追ってくる気配もない。通路の先は、ダンスホールに繋がっている。


 外に出ると、相変わらず煩い音楽が鳴り響いていた。




『俺に、ついてくるな』


 奪った銃に、安全装置をかけてジャケットの内側にしまい込む。弾丸は、三発だ……


 これを使う事が、起こらないように願うしかない。



『瑠威』


 絡まる腕に、甘い香水の香り……


『ついてくるな……明日、蔵人の屋敷に行って最高の奉仕をしてきた。と嘘をつけばいいだろ!


 俺から離れろっ!』


『無理だよ。クロードには、嘘が通用しないもん。それに瑠威、クロードにそっくりでカッコいいし』



 三発のうちの一発を、この女に使うべきか?



『おまえ、クロードの弱点とか知ってるか?』


『弱点? うーん……』


 通路を抜けたところにも護衛が立っていたが、『ご苦労』と手を上げて通過したら……特に何の反応もない。

 ダンスホールから出口を目指す。



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