一番星の愛情物語
嗣実さまは何だかんだ言っても、美青年です。

儚い空気が、母性本能をくすぐる、とよく聞きます。


「お、おじいさまに伝えておきます」


「はい。佰宮さまをお見送りして差し上げて」


嗣実さまは使用人に視線を向けると、すぐにテイクアウト等の手配をした。


「佰宮さま、ごきげんよう」


「ご……ごきげんよう」


いろはさまは、使用人に促され、会場を後にした。


残された嗣実さまは、軽く咳をしながら、いろはさまの姿が見えなくなるまで、見守っていらっしゃいました。


「佰宮いろはさん」


嗣実さまは、口元を緩めつつ、いろはさまがいなくなると、会場をあとにしました。
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