解ける螺旋
俺が真美の為に創り上げた世界の中。
与えられた前提条件の元で、結城と奈月は別々の幸せを模索した。
それは俺が見て来た二人の姿とは違っていたけれど。
他の世界を知らない二人には、当たり前だったんだ、と。
「……だけど、健太郎の心にはまだ引っ掛かりがあった。
五年待って、私の前に愁夜さんが戻って来るのかどうか。
自分が選んだ選択肢が、意味のある事だったのか。
私の願った未来を創り上げるのか。
だからね、愁夜さんはここに戻って来て健太郎と再会した事で、健太郎を救ったんだよ。
ずっと健太郎が引っ掛かっていた物を消し去ってくれた。
……それで健太郎は、本当に自分の幸せを求める事が出来るんだから」
「……再会しただけで、結城を……?」
掠れた声で呟いた。
奈月は俺を見つめながら、うん、と大きく頷く。
「さっきの健太郎の笑顔、見たでしょ?
晴々したって顔をしてた。
ね、愁夜さん。
求める幸せの形って、みんなそれぞれ違うんだよ。
健太郎はあれで頑固だから、自分で決めた道に動き出した途端にそれが自分の意志になる。
その意志を貫き通す事。
それが健太郎の理想の姿で、そう在る事が幸せ。
……結城財閥を背負って立つ人だから、そういう育てられ方をして来た。
昔からいつも人の為。……私の為。
だから私が健太郎のおかげで幸せになる事が、健太郎の幸せの一つになるんじゃないかな、って。
私は罪悪感に潰れそうになった時、自分でそう思う様にしたんです。
都合いいですけど、ね」
自分のした事で、誰かが幸せになるのが幸せ。
それほどに強く思われたなら、誰だって幸せだと思えるだろう。
そんな結城に守られて来た奈月も、恋人として傍にいた真美も。
結城が周りの人間を全て幸せにして来れた。
そんな器を持つ結城を尊敬して、羨ましいと思った。
与えられた前提条件の元で、結城と奈月は別々の幸せを模索した。
それは俺が見て来た二人の姿とは違っていたけれど。
他の世界を知らない二人には、当たり前だったんだ、と。
「……だけど、健太郎の心にはまだ引っ掛かりがあった。
五年待って、私の前に愁夜さんが戻って来るのかどうか。
自分が選んだ選択肢が、意味のある事だったのか。
私の願った未来を創り上げるのか。
だからね、愁夜さんはここに戻って来て健太郎と再会した事で、健太郎を救ったんだよ。
ずっと健太郎が引っ掛かっていた物を消し去ってくれた。
……それで健太郎は、本当に自分の幸せを求める事が出来るんだから」
「……再会しただけで、結城を……?」
掠れた声で呟いた。
奈月は俺を見つめながら、うん、と大きく頷く。
「さっきの健太郎の笑顔、見たでしょ?
晴々したって顔をしてた。
ね、愁夜さん。
求める幸せの形って、みんなそれぞれ違うんだよ。
健太郎はあれで頑固だから、自分で決めた道に動き出した途端にそれが自分の意志になる。
その意志を貫き通す事。
それが健太郎の理想の姿で、そう在る事が幸せ。
……結城財閥を背負って立つ人だから、そういう育てられ方をして来た。
昔からいつも人の為。……私の為。
だから私が健太郎のおかげで幸せになる事が、健太郎の幸せの一つになるんじゃないかな、って。
私は罪悪感に潰れそうになった時、自分でそう思う様にしたんです。
都合いいですけど、ね」
自分のした事で、誰かが幸せになるのが幸せ。
それほどに強く思われたなら、誰だって幸せだと思えるだろう。
そんな結城に守られて来た奈月も、恋人として傍にいた真美も。
結城が周りの人間を全て幸せにして来れた。
そんな器を持つ結城を尊敬して、羨ましいと思った。