解ける螺旋
そしてそんな結城を、俺が救う事が出来たと言うのなら。
俺も奈月の言葉を信じたいと思った。
「……だからね、愁夜さん。今度は。
これからはちゃんと、自分の幸せを願って下さい」
「え?」
俺の幸せ。
今まであまり馴染みの無かった言葉に、俺は一瞬困惑した。
俺に自分の幸せを求める権利なんかなかった。
自分のしてる事は自覚してたんだから、それが当たり前の事だった。
どれだけ奈月を苦しめて来たか。
真美の為だけに、俺はいつも奈月の命を切り捨てて来た。
そんな俺が、どうして自分の幸せなど願う事が出来ると言うんだ。
「愁夜さんがこの未来に願った物は叶ったでしょう?
健太郎もそうだけど、二人とも人の幸せばっかり願ってる。
だけど健太郎は愁夜さんのおかげで先に進めるから。
だからこれからは、自分の事を考えて欲しいんです。
……この先はここで生きて行くんだから」
「……」
俺が願ったのは、真美が幸せに生きる未来。
俺が知っている世界ではいつも辛い目にしか遭わなかった真美が、この世界で幸せに笑っていた。
俺は本当にそれだけでも十分に幸せだと思っていた。
それが自分の望んだ全てだったから。
だけど。
これ以上を望んでいいのなら。
俺は終着点を迎えたこの世界で、もう一つ願いを――
「……俺は」
少しだけ声が震えた。
口にし掛けて言い辛くて、奈月から目を逸らして俯く。
「君も結城もこの先幸せになってくれるなら、何でも出来る」
俺が壊し続けて来た二人の運命。
取り戻す事はもう出来ないけれど、せめてこの世界で未来を歩く間、俺はそれを願い続けたい。
俺も奈月の言葉を信じたいと思った。
「……だからね、愁夜さん。今度は。
これからはちゃんと、自分の幸せを願って下さい」
「え?」
俺の幸せ。
今まであまり馴染みの無かった言葉に、俺は一瞬困惑した。
俺に自分の幸せを求める権利なんかなかった。
自分のしてる事は自覚してたんだから、それが当たり前の事だった。
どれだけ奈月を苦しめて来たか。
真美の為だけに、俺はいつも奈月の命を切り捨てて来た。
そんな俺が、どうして自分の幸せなど願う事が出来ると言うんだ。
「愁夜さんがこの未来に願った物は叶ったでしょう?
健太郎もそうだけど、二人とも人の幸せばっかり願ってる。
だけど健太郎は愁夜さんのおかげで先に進めるから。
だからこれからは、自分の事を考えて欲しいんです。
……この先はここで生きて行くんだから」
「……」
俺が願ったのは、真美が幸せに生きる未来。
俺が知っている世界ではいつも辛い目にしか遭わなかった真美が、この世界で幸せに笑っていた。
俺は本当にそれだけでも十分に幸せだと思っていた。
それが自分の望んだ全てだったから。
だけど。
これ以上を望んでいいのなら。
俺は終着点を迎えたこの世界で、もう一つ願いを――
「……俺は」
少しだけ声が震えた。
口にし掛けて言い辛くて、奈月から目を逸らして俯く。
「君も結城もこの先幸せになってくれるなら、何でも出来る」
俺が壊し続けて来た二人の運命。
取り戻す事はもう出来ないけれど、せめてこの世界で未来を歩く間、俺はそれを願い続けたい。