主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【完】
「ぬ、主さま…そ、その…疲れただろ?なら俺が息吹を…その…」
「…疲れてない。先に行って山姫に床の用意をするように伝えろ」
「お前の腕に抱かれたら息吹が凍っちまうぜ!」
明らかに肩を落とした雪男を皆がからかう。
主さまの胸に顔を埋めたまま動かなかった息吹はようやく自分の身体を見下ろして裸なことに気が付いて、もがいた。
「やだっ、私、裸…!」
「…お前の貧相な身体なんか見ても面白くない。…何をされた?」
ぱっと顔を上げた息吹は思い出したように唇を手の甲で何度も拭いた。
その仕草で帝に何をされたかと悟った主さまは、このまま引き返して今度こそは命を奪ってやろうかと考えて、空中で脚を止めた。
「主さま?」
「…何でもない。お前に何かあったら俺が晴明にねちねち嫌味を言われるんだぞ」
「ごめんね主さま。助けに来てくれてありがとう…嬉しかった」
背中に腕を回してきつく抱き着いてきた息吹は…決して貧相ではない。
息吹のやわらかな胸の感触が身体に伝わり、やわらかな二の腕に目が行き、
早く裸の息吹から離れないととんでもないことをしそうな自信のある主さまは速度を上げて屋敷へと急ぎ、
そして息吹を待ち受けていた山姫が、笑顔で駆け寄ろうとした息吹の頬を…思いきり叩いた。
「っ、母、様…」
「また勝手に飛び出して行って!どれだけ心配させるつもりなんだい!?あたしはもう、あんたが戻って来ないかと…っ」
顔を両手で覆って庭で泣き崩れた山姫を見て、息吹もまた自分が仕出かしたことを深く反省した。
山姫の背中に抱き着くと何度も何度も謝り、綺麗な赤茶色の髪を撫でて謝った。
「母様…ごめんなさい。もうどこにも行きません。ごめんなさい」
――“もうどこにも行きません”
その息吹の言葉に飛び上がりそうなほどに喜んだのは、主さまだ。
感動的な光景に一緒に戻って来た妖たちも涙ぐむ中、主さま1人だけが必死に笑みを堪えるために口元を手で隠していた。
「息吹、こっちに来い」
「はい」
息吹に与えた部屋へ連れて行き、箪笥の中から藤色の浴衣を出した。
「着替えを手伝ってやる」
「…疲れてない。先に行って山姫に床の用意をするように伝えろ」
「お前の腕に抱かれたら息吹が凍っちまうぜ!」
明らかに肩を落とした雪男を皆がからかう。
主さまの胸に顔を埋めたまま動かなかった息吹はようやく自分の身体を見下ろして裸なことに気が付いて、もがいた。
「やだっ、私、裸…!」
「…お前の貧相な身体なんか見ても面白くない。…何をされた?」
ぱっと顔を上げた息吹は思い出したように唇を手の甲で何度も拭いた。
その仕草で帝に何をされたかと悟った主さまは、このまま引き返して今度こそは命を奪ってやろうかと考えて、空中で脚を止めた。
「主さま?」
「…何でもない。お前に何かあったら俺が晴明にねちねち嫌味を言われるんだぞ」
「ごめんね主さま。助けに来てくれてありがとう…嬉しかった」
背中に腕を回してきつく抱き着いてきた息吹は…決して貧相ではない。
息吹のやわらかな胸の感触が身体に伝わり、やわらかな二の腕に目が行き、
早く裸の息吹から離れないととんでもないことをしそうな自信のある主さまは速度を上げて屋敷へと急ぎ、
そして息吹を待ち受けていた山姫が、笑顔で駆け寄ろうとした息吹の頬を…思いきり叩いた。
「っ、母、様…」
「また勝手に飛び出して行って!どれだけ心配させるつもりなんだい!?あたしはもう、あんたが戻って来ないかと…っ」
顔を両手で覆って庭で泣き崩れた山姫を見て、息吹もまた自分が仕出かしたことを深く反省した。
山姫の背中に抱き着くと何度も何度も謝り、綺麗な赤茶色の髪を撫でて謝った。
「母様…ごめんなさい。もうどこにも行きません。ごめんなさい」
――“もうどこにも行きません”
その息吹の言葉に飛び上がりそうなほどに喜んだのは、主さまだ。
感動的な光景に一緒に戻って来た妖たちも涙ぐむ中、主さま1人だけが必死に笑みを堪えるために口元を手で隠していた。
「息吹、こっちに来い」
「はい」
息吹に与えた部屋へ連れて行き、箪笥の中から藤色の浴衣を出した。
「着替えを手伝ってやる」