主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【完】
一通り主さまから説明を受けた山姫は絶句の連続だった。
「息吹が…鵜目姫の血縁…?」
「ただの人ではないことはわかったが、実際に息吹が何かしらの力を持っているのかはわからない」
「もし人より長く生きる長寿の者ならば、それはそれで人の世界では生きにくくなるねえ」
――晴明は半妖で、妖狐と人の間に生まれた者であることは街の者たちにも広く知られている。
だが人の世界に生きることを選び、人のために術を行い、救ってくれるありがたい存在なので晴明を悪く言う者は皆無だ。
が、今後人よりも何百年…何千年と長く生きるのは明らかで、もし息吹が同じ運命だとすれば…息吹は悩むかもしれない。
「もしそうなら主さまが息吹を娶ればいいじゃないですか」
「!は、はあ?誰があんな小娘…」
「そんな小娘に色々悪戯をしていたのはどこのどいつだ?」
「え?!主さま…まさか息吹に手を?」
「……」
否定すればいいものをぷいっと身体ごと縁側に向けた主さまの耳は真っ赤。
相変わらず純情な一面のある主さまに晴明と山姫がくすりと笑い、山姫が腰を上げた。
「息吹に力があるかどうかは今すぐ考えなければいけないことじゃないんでしょう?あたしとしては息吹がただの人じゃないなら嬉しいですよ、長く一緒に居られるから」
「ふむ、私も同感だ。あの子が先に老いて死ぬ姿を見るのは真っ平だからな」
「…俺だって同じだ」
蚊の鳴くような声で同意した主さまにまた笑いつつ山姫が赤茶の髪を揺らして立ち去ると、晴明が主さまににじり寄って赤い耳を引っ張った。
「相変わらず美しいと思わぬか?」
「お前は本気なのか?山姫は手強いと言ったはずだぞ」
「ちなみに息吹は山姫よりもさらに手強いと思うぞ。そなたの軽薄さを牛車の中でずっと嘆いていたからねえ」
「!」
そういえばまだ誤解は解けておらず、けれども屋敷へ帰ってきたのでたっぷり時間はある。
――主さまが黙ったまま煙管を噛むと、晴明は主さまの髪紐についている鈴を指先で弾いて音を鳴らし、鼻で笑った。
「雪男に攫われぬよう目を離さぬことだな」
わざと不安を植え付ける。
「息吹が…鵜目姫の血縁…?」
「ただの人ではないことはわかったが、実際に息吹が何かしらの力を持っているのかはわからない」
「もし人より長く生きる長寿の者ならば、それはそれで人の世界では生きにくくなるねえ」
――晴明は半妖で、妖狐と人の間に生まれた者であることは街の者たちにも広く知られている。
だが人の世界に生きることを選び、人のために術を行い、救ってくれるありがたい存在なので晴明を悪く言う者は皆無だ。
が、今後人よりも何百年…何千年と長く生きるのは明らかで、もし息吹が同じ運命だとすれば…息吹は悩むかもしれない。
「もしそうなら主さまが息吹を娶ればいいじゃないですか」
「!は、はあ?誰があんな小娘…」
「そんな小娘に色々悪戯をしていたのはどこのどいつだ?」
「え?!主さま…まさか息吹に手を?」
「……」
否定すればいいものをぷいっと身体ごと縁側に向けた主さまの耳は真っ赤。
相変わらず純情な一面のある主さまに晴明と山姫がくすりと笑い、山姫が腰を上げた。
「息吹に力があるかどうかは今すぐ考えなければいけないことじゃないんでしょう?あたしとしては息吹がただの人じゃないなら嬉しいですよ、長く一緒に居られるから」
「ふむ、私も同感だ。あの子が先に老いて死ぬ姿を見るのは真っ平だからな」
「…俺だって同じだ」
蚊の鳴くような声で同意した主さまにまた笑いつつ山姫が赤茶の髪を揺らして立ち去ると、晴明が主さまににじり寄って赤い耳を引っ張った。
「相変わらず美しいと思わぬか?」
「お前は本気なのか?山姫は手強いと言ったはずだぞ」
「ちなみに息吹は山姫よりもさらに手強いと思うぞ。そなたの軽薄さを牛車の中でずっと嘆いていたからねえ」
「!」
そういえばまだ誤解は解けておらず、けれども屋敷へ帰ってきたのでたっぷり時間はある。
――主さまが黙ったまま煙管を噛むと、晴明は主さまの髪紐についている鈴を指先で弾いて音を鳴らし、鼻で笑った。
「雪男に攫われぬよう目を離さぬことだな」
わざと不安を植え付ける。