優しい手①~戦国:石田三成~【完】
昨晩は宿に着いて早々恐ろしいことが起きてしまった。
そのせいで桃の睡眠は浅く、小さな家鳴りにもつい身を竦め、耳を塞いでしまう。
「違う違う、お化けなんかじゃないもん…っ」
三成の所へ行きたかったが遠く離れていて、そこまで移動することすら怖い。
そしてどこかからまた小さな音がして布団を被ろうとした時――
「姫、こちらにおいで」
常に睡眠の浅い謙信がいつの間にか起きていて、縋りり付くようにその手を取ると同じ布団の中に転がり込んだ。
「家鳴りでしょ?意外と古い建物みたいだし、私もうるさいと思ってたよ」
腕枕をしてくれて、すぐ傍に麗しの謙信の顔があって驚き、視線を下げると…
そこには浴衣の胸元が少しはだけて、たくましい胸が見えていた。
「あ、あの…やっぱり自分の布団に戻ろっかな」
「どうして?私がそんな我が儘を聞いてあげると思っているの?」
三成にあれだけ“触らせるな”と忠告された太股を謙信の手が這う。
「初夜は優しくしてあげるけど、本来の私の夜伽は優しくなんかないからね。この可愛い太股とその奥にも、姫の想像もつかないことを私はしてしまうよ」
布団を被って覆い被さられ、右の脚を抱えられて身体を密着させてくる。
下着を着ていなければとんでもないことになっていたのだが、男女の情事をまるで知らない桃はそれに気づかず、
謙信の真っ直ぐな瞳を逸らせないでいて、浴衣から覗いてしまっている胸を隠すこともできないでいた。
「しょ、初夜って…謙信さん、触るの、やめて…っ」
「三成に火照らされた身体の熱は引いたの?私が続きをしてあげるよ」
長い前髪がさらりと揺れて、笑みも揺れて、桃の頬に数えきれないほどのキスの雨が降ってきた。
しかし唇には触れてこずに、形の良い謙信の唇はいつしか桃の右耳を集中的に攻め、息を吹きかける。
「ん…っ」
「違う部屋に移動しようか?私が男を教えてあげるよ。私だけの天女なのに皆が君に触れるから正直いい思いはしないし、余計に姫を欲してしまう」
時に情熱的になる上杉謙信――
日々その心を刺激し、本気にさせていることに、桃は全く気付いていなかった。
そのせいで桃の睡眠は浅く、小さな家鳴りにもつい身を竦め、耳を塞いでしまう。
「違う違う、お化けなんかじゃないもん…っ」
三成の所へ行きたかったが遠く離れていて、そこまで移動することすら怖い。
そしてどこかからまた小さな音がして布団を被ろうとした時――
「姫、こちらにおいで」
常に睡眠の浅い謙信がいつの間にか起きていて、縋りり付くようにその手を取ると同じ布団の中に転がり込んだ。
「家鳴りでしょ?意外と古い建物みたいだし、私もうるさいと思ってたよ」
腕枕をしてくれて、すぐ傍に麗しの謙信の顔があって驚き、視線を下げると…
そこには浴衣の胸元が少しはだけて、たくましい胸が見えていた。
「あ、あの…やっぱり自分の布団に戻ろっかな」
「どうして?私がそんな我が儘を聞いてあげると思っているの?」
三成にあれだけ“触らせるな”と忠告された太股を謙信の手が這う。
「初夜は優しくしてあげるけど、本来の私の夜伽は優しくなんかないからね。この可愛い太股とその奥にも、姫の想像もつかないことを私はしてしまうよ」
布団を被って覆い被さられ、右の脚を抱えられて身体を密着させてくる。
下着を着ていなければとんでもないことになっていたのだが、男女の情事をまるで知らない桃はそれに気づかず、
謙信の真っ直ぐな瞳を逸らせないでいて、浴衣から覗いてしまっている胸を隠すこともできないでいた。
「しょ、初夜って…謙信さん、触るの、やめて…っ」
「三成に火照らされた身体の熱は引いたの?私が続きをしてあげるよ」
長い前髪がさらりと揺れて、笑みも揺れて、桃の頬に数えきれないほどのキスの雨が降ってきた。
しかし唇には触れてこずに、形の良い謙信の唇はいつしか桃の右耳を集中的に攻め、息を吹きかける。
「ん…っ」
「違う部屋に移動しようか?私が男を教えてあげるよ。私だけの天女なのに皆が君に触れるから正直いい思いはしないし、余計に姫を欲してしまう」
時に情熱的になる上杉謙信――
日々その心を刺激し、本気にさせていることに、桃は全く気付いていなかった。