優しい手①~戦国:石田三成~【完】
桃の右側は景勝で、

春日山城に入れば三成とあまり会えなくなると知った桃は皆にお願いして、左隣を三成にしてもらった。


「景勝さんは謙信さんのお姉ちゃんの息子さんなんだよね。えと…喜平次さんって名前なんだよね?」


途端、吹き出す2人が居た。


謙信と、兼続だ。


「懐かしいなあ、あの頃はなかなか私に懐いてくれなくてね、悩んだものだよ」


「拙者も苦労いたしましたなあ、ですが心優しきお方です。よく拙者の面倒を見て下さって…」


「ち、父上、兼続、幼少の頃のお話はお止め下さい」


――景勝が横ですでに布団に入っている桃を盗み見すると、目は布で隠してはいるが、口元からして満面の笑みなのがわかり、また閉口した。


「…何故俺の幼名を…?」


「え?だって有名だもん。大河ドラマにもなったし」


「?」


「姫は本当に可愛らしい顔をしているから、横恋慕しないようにね」


「!そ、そのようなことは…」


今度は桃が三成の側に身体を傾けて手を伸ばす。


自分と同じ位に堅物で有名な石田三成が少し周囲の視線を気にしつつも桃の手を握ってやっているのを見て、さらに景勝の心中は複雑になった。


――桃は、叔父であり義父の上杉謙信が直々に迎えに行った女子。

名のある家の姫なのか、それにしても身なりは奇抜だし…異国の者なのか、様々な想像が働いたがどうしたことか自分の顔が気になってしまい、さらに隣の兼続の肩を突いて耳打ちした。


「与六、その…俺の顔は…おかしくはないか?」


「ははっ、あなた様のお顔、限りなく殿にお近い美貌!少々剣がありますが…ややや?姫がどのような反応をされるのか気になるのですかな?」


言い当てられてまた黙り込み、手を繋いだまま見つめ合っている桃と三成を見ているとむかむかが止まらなくなって兼続の頭を八つ当たりまじりにど突いた。


「皆様、灯りを消しまする」


幸村の号令で皆布団に入り、灯りが消えると…

手を繋いでいた三成の指がしっかりと指と指を組み合わせて絡ませてきたので、きゅっと握り返した。


「三成さん…おやすみなさい」


「ああ、よく眠れ」


――だが波乱は止まなかった。
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